第47話3
文字数 600文字
幅はあるけど結構なお値段だ。新車の自動車ぐらいか。
ただし自動車と違って人形雛に実用性はほとんどない。
それでも欲しい人がいるのだから不思議なものだ。
武士ではない者が機巧姫を連れていても意味はない。
だが庶民にとっても人形は憧れの存在である。
廉価版でもいいので手元に置いておきたいという心理があるのだろう。
うちで扱う人形は素体の状態でも出来がよいものばかりで、化粧を施すと人間と見分けがつかないと評判なのです
とはいえ、あくまで見た目の評価でしかない。
人形雛がどれだけ優れた外見をしていようとも、機巧操士と共感し、機巧武者になることはない。
簡単な命令に従うことはできるが自我はない。
実用性に乏しく、所有欲を満たすだけの存在。それにお金を払えるのはよほどの道楽者だ。