第30話3

文字数 691文字

 ちなみにここでのお金の単位は(えん)でゲームと同じだった。

 他に長さの単位は米厘(センチメートル)(メートル)米千(キロメートル)。重さは(グラム)瓦千(キログラム)瓦屯(トン)って具合だ。

 基本的に表記が漢字になっていると思えばいい。いちいち頭の中で変換せずにすむから楽で助かる。

部屋に行李(こうり)箪笥(たんす)なんかあると便利だし、個人的には歯ブラシ……じゃない、房楊枝(ふさようじ)だっけ? 食べた後に歯を磨くやつ。あれとか欲しくてさ。

そういったものを扱っているお店を知っていたら案内してもらえると嬉しい

任せておいて。

安くていいものを揃えているお店に連れて行ってあげる

 さすがは澪の姉貴。頼りになるぜ!
葵も必要なものがあるだろ? ほら、あれとかこれとかさ。

だから一緒に買い物に行こう

 具体的には下着とかな。

 僕には妹がいたから多少はそういったものにも免疫はある方なんだが、さすがに男が女性用下着売り場に行くとお店の雰囲気を悪くしたりするじゃない。

 だから本人が望むものを自分で買ってくるのが一番だと、そう言いたいわけだ。


 ええ、妹の初ブラを買ってきたのはお兄ちゃんの僕ですがなにか?

 あのときのアウェイ感は人生でもトップクラスだったな。


 僕も褌ではなくパンツっぽいものを身に着けている。

 ウェストのところにはゴムみたいなものもついていたりして、この世界の謎技術力には心から感謝している。


 僕の提案に葵は黙って微笑んでいた。

じゃあ、もう少ししたら出発でいいかな
うん、よろしく
 結局、僕が動けるようになったのはそれから一時間後のことだった。
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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