第55話4

文字数 665文字

実は僕もそう思っているんです。

思い込みなら問題ないんですが、実際に想像していることが進行していたらまずいことになります。だから力を貸していただきたいのです。

状況証拠を並べて推測するのではなく、確たる証拠が掴めればはっきりしますから

力を貸すのはもちろん構いませんが、何をすればいいのでしょう?
まず中伊さん以外に機巧姫を購入した人たちを明らかにしたいんです。

津島屋では素性のしっかりした人にしか機巧姫を売らないと言っていましたが他のお店では違うかもしれません。ふらりと現れた人に売ったかもしれない

こっそり裏で取引してるのなら誰に売ったかなんてわかりっこないと思うぜ
それならそれでいいんだ。今後はそういう人に売らないように指導すればいい。

その上で関谷で流通する機巧姫はすべて操心館で買い上げるようにするから

先日、相談を受けた件ですね
そうです。津島屋さんからは了解すると返事をもらいました。

他の店とも交渉する予定だったのでちょうどいいかと思いまして

兄貴、俺にもわかるように説明してくれ。

つまり機巧姫を買うのか?

今回の件とは別なんだけど、操心館にいる候補生がなるべく多くの機巧姫と出会えるように関谷に出回るすべての機巧姫を買い上げようと考えているんだ
……それ、めちゃくちゃ金が必要になるだろ。大丈夫なのか?
この件はフジカワ様から許可をいただいていますからご安心ください
あ、そうでした。

近日中に津島屋から灰桜の君が届きますのでよろしくお願いします

わかりました。

受け入れの準備をしておきましょう

でもなあ、俺を認めてくれる機巧姫がいるかどうか……
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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