第39話4

文字数 656文字

それからさらに時代が下って今は新式と呼ばれる機巧姫が作られている。

古い機巧姫は戦火で失われてしまうから、現在稼働している多くが新式だね

新式も強いんですか?
神代式や古式に比べれば劣るとはいえ歩兵にとって脅威なのは変わらないさ。

機巧武者を止められるのは機巧武者だけだ

 大きいは正義だもんな。

そういうわけで機巧姫を多数抱える国はそれだけ戦力があるとされる。

優秀な機巧姫を手に入れるために戦が起きるなんてこともざらだ

でも機巧操士がいなければ意味がないんですよね
その通り。

だから関谷では新たな機巧操士を見つけ出すために操心館を作ったんだ

でも成果はなし、と
意外に厳しいことを言うね?
あ、いや……すみません。

そういうつもりではなかったんです

いいよ。事実だからね
 不動のように鍛錬を続けていれば、やがて連れ合いとなる機巧姫と出会えるのだろうか?
どういう人が機巧操士になれるんですか?
 広幡館長によると、過去に機巧操士だった血筋の者とか、武芸百般を修めた優秀な人物がなんて言ってたけど。
機巧姫の勾玉の色と機巧操士の魂の色が同じであればいい。

だから同じ血筋の者が機巧操士になりやすいと考えられているわけだ

でもこの国の王である藤川様は何代も機巧操士になれてないそうですけど
それについては血筋が同じでも魂の色が全く同じとは限らないからというのが理由ではないかと推察している。

その色についてなんだけど、機巧姫は固有の色を持つ勾玉を持っている。葵の君であれば葵色をした勾玉だ

 胸の真ん中にあるのを見せてもらったので、それは知っていると頷く。
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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