第36話4
文字数 757文字
どんどんどんとお盆にのったつまみが並んでいく。
白身魚の塩焼きはじゅうじゅうと脂を滴らせて鳴いていた。今朝、食堂で見た物体エックスとは大違いだ。
ゆでて真っ赤になったタコは既に塩味がついているそうだ。食べやすいように一口サイズに切り分けられている。
刺身は一つひとつの切り身が大きくて豪快な盛り付けだった。
早速いただく。
木材が豊富な関谷は割り箸の文化がすでにあるんだと感心しながら箸を伸ばす。
味はどれもいい。朝食とは大違いだった。
さすがに毎食あのレベルだと栄養摂取のためとはいえ食事が苦痛になりかねなかったけど、こんな食事が食べられたら文句はない。
そんなの気にしなくていいのにと思って澪を見たら、視線を逸らして頬を赤く染めていた。
葵はそんな澪の様子に気が付かないフリをして杯にお酒を注いでいる。
うん、このネタを引っ張るのはやめておこう。
治水は為政者にとってやらなくてはならない事業だもんな。これに失敗すると領民が命令に従ってくれなくなる。逆に治水工事をしっかりやる領主は領民から慕われるってことだ。
戦国時代に武田信玄が築いた