第15話1 ここがお風呂場だよ

文字数 518文字

ここがお風呂場だよ。

今は誰も使ってないからゆっくり入っていいからね

 更衣室は思っていたよりも広い。風呂場というよりはちょっとした銭湯という感じだ。

 操心館にいる機巧操士たちが利用しているのなら同時に何人もが入浴することも考えて広く作ってあるんだろう。


 江戸時代の銭湯は基本的に混浴だったけど、まさかここもそうなのだろうか。

 混浴って聞くだけでドキドキする。

 でもこっちも相手から見られるのを忘れてはいけない。御仏のような清らかな心でお風呂に入らなければ。

手ぬぐいはあるものを使って。

着替えは用意しておくから、そこの籠に脱いだものを入れておいてね

ありがとう。

葵はどうするの?

()はこちらに控えています。

構いませんか?

わかりました。

それではキヨマサ君がお風呂から出たらここで一緒に待っていてください

 そう言い残して澪が扉を閉めた。

 脱衣所には僕と葵しかいない。

葵はここにいるの?
はい
僕、お風呂に入ろうと思うんだけど
ゆっくりと入ってらしてください

 うん、ありがとう。

 でもね、葵が脱衣所から出て行ってくれないと服を脱ぎにくいっていうか、僕には露出趣味みたいのはないからね?


 なんとか葵を説得して脱衣所から出て行ってもらうことに成功した。

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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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