第20話2
文字数 559文字
国王様は食事をすることになってから終始ご機嫌だった。
いろいろあって空腹だし、僕もすぐにいただきたい。
だがその前に。
機巧姫である葵の前にも同じように御膳があるのだ。
山林を歩いたときには水をとらなかったから、飲食はできないのかと思っていたんだけど。
そうなんだ。
人形が食事をした場合、そのあとはどうなるのかちょっと気になる。排泄はされるのだろうか、とか。
質の良い機巧姫は外傷を負った場合はそこから赤い血が流れるといいます。人間のように睡眠もとるのです。
伝説に残る神代式の機巧姫には、本人も含めて全員が人間だと思っていたなんてこともありますぞ。死んだときに初めて機巧姫であったとわかったのです。
これはかつてこの国を訪れた――
まだまだ続きそうな機巧姫トークを福岡家老が諌める。
これからというところで止められた井田家老は憮然とした表情をしたものの、場を弁えたのかそれ以上は何も言わなかった。
なんか嫌だなあ。
この二人、政敵同士でいつもやり合っていて、互いの失点を探しあっているとかじゃないといいんだけど。