54、ヘブライ文字の特徴(1)

文字数 1,352文字

今日からしばらくは、フェニキア文字とヘブライ文字を比べてそれぞれの特徴を知り、ヘブライ文字を覚えていくことにしよう。
作品集のページには下の画像から入ってください。
ヘブライ文字の活字体は書きにくいので、『ヘブライ語入門』という本に出ていた飾り文字を省略した線文字を見ながら書いています。
フェニキア文字とヘブライ文字でアレフからヘーまでの6文字を書いてあるのだが、両方を比べて気が付いたことを言ってみてくれ。
字の細かい違いを見つけるなどということは余は好きではない。ハンニバルが象を連れてアルプスを越えたとか、雄牛2000頭を使っての作戦とか、スケールの大きな話の方が余は好きだ。
私はこういう地味で細かい作業が大好きです。あまり知られていませんが、私も弟のマルティンも文化や芸術に深い造詣があり、支援していたのです。
フェニキア文字の方が元の名前のイメージや形を想像しやすいです。ヘブライ文字だけだと、元の形は想像できません。
フェニキア文字でもこの中に出て来る5文字はまるで細い木の枝を折って並べたような形をしていますが、ヘブライ文字の方がもっと木の枝を並べたという感じです。そしてヘブライ文字はこの中の6文字は閉じた空間がありません。
本当だ。フェニキア文字はアレフ、ベート、ダレトの3つの文字に線で囲まれた空間があるけど、ヘブライ文字のこの6文字は必ず出口があって線で囲まれていない。
フェリペとフアン1世の2人はよくもまあ文字に閉じた空間があるかどうかという細かい話で盛り上がれるものだ。戦いで敵に包囲された時には突破口を見つけることが重要になってくるが、文字に出口があってもなくてもそれほど重要なこととは思えない。
いえ、これはとても重要なことです。ヘブライ文字は線で囲まれていないから、図形として認識できないのです。フェニキア文字の場合はアレフ、ベート、ダレトの3つの文字に三角形が入っています。
本当だ。線で囲まれた部分があるから三角形だとすぐにわかる。それに図形や元のイメージがあるからフェニキア文字は覚えやすい。
ヘブライ文字は図形や元の形とはかけ離れているから覚えにくい、でもこの特徴があったからこそ、ヘブライ文字は音素文字としての役割を完全に果たし、長い間使われてきたと思うのです。
どういう意味なの?
フェニキア文字も音を表す音素文字ですが、まだまだ元の形がイメージ出来たり、丸や三角など図形になっている文字がたくさんあります。フェニキア文字はパッと見て、丸や三角といった形が印象に残ってしまいます。でもヘブライ文字の場合は元の形がわかりにくいし、図形になっていない、だからこそ、言葉を伝える音をそのまま書き写す文字としての役割を完璧に果たしたのではないでしょうか。
日本人は漢字とひらがな、カタカナを使い分けています。日本人同士の会話では音で聞いていても頭の中で瞬間的に漢字に変換して言葉を認識しています。日本語の場合はそれで成り立っているけど、音素文字の場合は文字に意味を持たせすぎるとそれが邪魔になってしまう、だからヘブライ文字はあのような形に進化したのではないでしょうか?
フェニキア文字とヘブライ文字について興味深い意見がいろいろ出て来た。次回は1つ1つの文字について詳しく見ていくことにしよう。
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