235、ポエニ戦争(90)

文字数 1,118文字

第二次カプア包囲戦についての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
降伏宣言の翌日、ローマ軍野営地前のユピテル門が開けられた。プルケルとフラックスの2人のプロコンスルとネロが率いるローマ軍はここを通って入城した。カプア城内の全ての武器は集められ、全ての城門には衛兵が配置された。その後、カルタゴ守備軍とカプア元老院議員がローマ軍司令官の前に立たされた。元老院議員たちは鎖で繋がれ、また所有する全ての金銀を財務官(クァエストル)に差し出すように命令されていた。結果、2,700ポンドの金と31,200ポンドの銀が押収された。27人の元老院議員はカレス(現在のカルヴィ・リゾルタ)へ、28人はテアヌム・シディシヌム(現在のテアーノ)へ捕虜として送られた。
降伏した者の運命は悲惨ですね。
カプア元老院議員の処分に関しては、プルケルとフラックスの間で分かれた。プルケルは助命に傾き、フラックスは死刑との意見であった。両者の意見が一致しなかったため、その処置だけでなく捕虜の尋問も元老院に委ねられた。フラックスは、この処置がラテン系の同盟都市との関係に悪影響を及ぼすのを恐れ、騎兵2,000と共にテアヌムに向った。
厳しい処置を行うことで、他の都市の離反を防ごうとしたのですね。
テヌアムに到着すると、フラックスはそこの責任者に拘留されているカプア捕虜を彼の前に連れてくるように命じた。そして連行された捕虜を杖で打ち、斧で首を刎ねた。その後直ちにもう1つの捕虜拘留地であるカレスに向った。すでにローマ元老院から指示が届いていたが、フラックスはそれを読まずに捕虜全員を処刑した。処刑終了後、ローマからの指令所を読んだが、カレスを離れようとしたとき、1人のカプア人が自分を殺せと叫んだ。フラックスはこれを狂人と思ったが、指令書を読んだ後であったため殺すことが出来なかった。この男はフラックスの眼前で自分の胸を突き刺して自殺した。
フラックスは元老院の指令書を読まずに捕虜全員を処刑しました。少しも迷いやためらいがなく、それが正しいと信じたからです。確かにカプアはローマから離反してハンニバルのいるカルタゴ側につきました。その恨みや他の都市の離反を防ぐためには厳しい処置が必要だったのかもしれません。でも無抵抗の人間をためらうことなく処刑するということは怖ろしいことです。ラミロ2世は反乱を起こした貴族を騙して呼び集め処刑するということを行いました(ウエスカの鐘)そしてその罪を背負い、一生だけでなく死んだ後も苦しみ続けました。でもフラックスは人を殺したという苦しみを感じることはなかったでしょう。彼はローマにとって有利になることをしただけですから・・・
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色