91、ヘブライ文字と発音記号(6)

文字数 1,224文字

ヘブライ文字と発音記号についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
今日はテットの文字から見ていこう。テットは車輪という意味がある。
フェニキア文字のテットはわかりやすい形をしています。
ハハハハ・・・本当にその通りだ。フェニキア文字のテットはパッと見てすぐに車輪だとわかる。だが、ヘブライ文字の車輪はどうしてこうなった。こんな形では車輪として全く役に立たない。
フェニキア文字と違ってヘブライ文字は完全包囲を嫌い、また丸や三角など図形に見えることも嫌う。
それにしても車輪ならもう少しなだらかな曲線を使えばいいのに、なぜこうも角ばっている。
ヘブライ文字は兵士を並べやすいという特徴を持つ文字でもある。広い平原で兵士を並べる時、直線を使って直角に曲がれば説明しやすい。
あの、ヘブライ文字が四角形を基本とし、直角に曲がることが多いのは、兵士の並べやすさというよりもたくさんの字を書く時にまっすぐにそろえやすく読みやすいからだと思います。
色々な理由があると思うが、ヘブライ文字のテットはフェニキア文字のテット、車輪の形とは似ても似つかないものになってしまっている。まるで余と父上のようだ。偉大な皇帝と言われた父上カール4世は完璧な車輪で治世もうまくいっていた。だが余はヘブライ文字の車輪と同じ、いくら頑張ってもうまく回ることができず、統治に失敗し、ローマ王の地位も名誉も失ってしまった。
偉大な皇帝の長男として生まれながら人生を失敗しているのは余も同じだ。今ならよくわかる。余もヘブライ文字のテットと同じで角ばっていてうまく回ることができない。父上と同じようにできないという焦りや不満を持つ中、教皇にそそのかされて反乱を起こしてしまった。
車輪としてよくわかるようにするためにはフェニキア文字の方がずっとわかりやすいです。でもヘブライ文字のテットがあのような形となることでメリットもたくさんあったと思います。
文字は多くの人が覚えてしまえば、元の形を想像できない方が望ましい。フェニキア文字もヘブライ文字も表音文字、音を伝える役割を持っているのだから、特定の文字がその元の形を想像しやすければその文字だけが見た時に主張が強くなり印象に残ってしまう。文字は記号として同じように見えた方がいい。
ヘブライ文字はみんな同じように見えるからこそ記号としての文字の役割を完璧に果たし、聖書のような長い物語の音を写し取り、後世に伝えることができた。ヘブライ文字がなければ、聖書もまた作られなかったであろう。
話が長くなったが、テット(車輪)の字のフェニキア文字とヘブライ文字の違いは、文字とは何かということを理解するにも役立つ。最後にヘブライ語のテットの発音記号を見てみよう。
テットはtの発音のテットに長母音エのツェレー・マレー、そして最後は子音のタヴで終わっています。
ツェレー・マレーというのは旗がついている母音記号だな。余も少しずつ母音記号というものがわかってきた。
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