32、ハンニバル・バルカという名前(2)

文字数 1,165文字

今日もハンニバル・バルカという名前についての話を続けよう。
作品集には下の画像から入ってください。
フェリペ、昨日説明したハンニバルの名前に使われている5つのフェニキア文字は覚えているか?
はい、神棚に魚をのせて、神殿の中に全てを見通す神が棍棒を持って立っているイメージだから、ヘト(棚)、ヌン(魚)、ベト(家)、アイン(目)、ラメド(突き棒)の5文字です。
フェニキア文字の中でもヘト(棚)、ヌン(魚)、ベト(家)、アイン(目)、ラメド(突き棒)の5文字は人名でよく使われているからしっかり覚えていた方がいい。
わかりました。
ハンニバルという名前は「バアルの恵み」や「慈悲深きバアル」、「バアルは我が主」を意味すると考えられている。バアルという神について覚えている者はいるか?
メソポタミア北部からシリア、パレスチナにかけて信仰されていた天候神アダドはウガリットではバアルと同一視されていた。ウガリットは地中海東岸にあった都市国家で紀元前1450年頃から紀元前1200年頃に全盛期を迎えた。独自の表音文字ウガリット文字を持ち、ウガリット神話が残っている。ウガリット神話の中でバアルは重要な神であった。
バール神への信仰は長く続き、ハンニバルよりも後の時代ですが、シリアのパルミラにはベル神殿というものが作られました。この遺跡は2015年に破壊されています。
バールという神は紀元前に地中海世界で長い時代信仰されてきた神だったのですね。子供に神にちなんだ名前を与えるというのはどんな気持ちなのでしょうか?
神ではなく聖人にちなんだ名前であるが、余の父上サンチョ・ラミレス王はローマへ巡礼に行き、その時に聖ペトロの家臣になると誓い、長男、つまり余の1番上の兄上にペドロという名前をつけた。アラゴン3代目の王ペドロ1世だ。
父上は篤い信仰心を持っていた。ローマ式の儀式を教会に取り入れ、各地に教会と修道院を作った。アラゴン王国の基礎を作ったのは父上である。父上はペドロ兄上をアラゴン王、アルフォンソ兄上を軍隊の指揮官、余をキリスト教会のトップにして、理想の国を作ろうとしたのであろう。歴史は皮肉でペドロ兄上とアルフォンソ兄上が後継者を残さずに亡くなり、余が王位を継ぐことになった。
アラゴンではその後も何度もペドロという名前が使われています。
ラミロ2世の曾孫にあたる余の名前もペドロ2世だ。
私の父上の名前はペドロ4世です。何代目になるのかちょっとわかりませんが・・・
神や聖人にちなんだ名前を子に付けるというのは、強い信仰心があったからこそであろう。名前を呼ぶたびに神の名前を唱えるのと同じ効果があるのだから。他にもバール神にちなんだ名前の者はフェニキア人には多い。ハンニバルの名前に使われているフェニキア文字はしっかり覚えておくとこれからの学習に役に立つ。
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