28、歯と印
文字数 998文字
全く知らない者にとって、ヘブライ文字やアラビア文字はわかりにくく難しいであろう。だがシチリアはギリシャ語もヘブライ語もアラビア語も通用していた。私が住んでいた頃もシチリアは様々な言葉が飛び交う国際都市であった。
私が生きた時代、カタルーニャにはまだまだユダヤ教徒やイスラム教徒がたくさん住んでいた。異教徒がたくさん住む場所ではその言葉を耳にし、文字を目にする機会も多くなる。皇帝フリードリヒ2世はアラビア語に堪能で、イスラム教徒の君主と手紙のやり取りができるほどであった。