229、ポエニ戦争(84)
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このため、ローマ軍は新戦術を採用することとした。まず優れた歩兵を選抜し、騎兵用の短い盾を持たせ、騎兵の後ろに2人乗りして馬から落ちなくなるまで乗馬訓練を行った。各兵士は7本の投槍を持ち、合図に従って一斉に行動することとなっていた。
ローマ軍の包囲は完全であったため、この訓練は安全に実施でき実戦の準備が整った。カプア騎兵はローマ騎兵に対して、投槍での攻撃を行った。すると合図があり、ローマ軽歩兵は一斉に馬から下りて、その投槍を立て続けに投げつけた。当然ではあるが、カプア騎兵はこのような攻撃を予想しておらず、大損害を受けた。続いてローマ騎兵が驚くカプア騎兵に対して追撃を行い壊走させた。この時から、騎兵に対して軽歩兵が支援する戦術が確立された。この投槍軽歩兵部隊はウェリテスと呼ばれ、その後正式化されてローマ軍の戦術に組み込まれた。
カプアがこのような状況にあったとき、ハンニバルはタレントゥムの攻略を続けるべきか、あるいはカプアを防衛すべきか迷っていた。最終的には、カプアだけでなくカルタゴに味方した多くの同盟都市のことを考慮し、カプアに向かうことにした。ほとんどの補給部隊と重騎兵を残し、ハンニバルは歩兵と軽騎兵を選抜し、33頭の戦象を伴ってカンパニアに向かった。カプアに接近するにあたっては、以前カラティアの要塞を攻撃した時に使ったティファタ山背後の渓谷に野営地を設定した。