106、ポエニ戦争(53)

文字数 1,287文字

第一次ベネヴェントゥムの戦いの続きです。作品集は下の画像から入ってください。
第一次ベネヴェントゥムの戦いは血まみれのものとなった。奴隷兵士は敵兵を殺すと、まずその首を切り落とし、さらにその切り取った首を持ち運んだため、戦闘が妨げられてしまった。
これは怖い光景ですね。戦場に死体がいっぱいあるのはわかるけど、首を切って持ち運ぶなど考えただけでもゾッとします。
奴隷の兵士は敵の首を持って行けば自由になるとでも思ったのだろう。こうなるともう人間の残酷さは止められなくなる。
戦場で何が起こっているかを理解したグラックスは、首を捨てて剣を取るように命じ、敵を撃滅するまでは奴隷身分からは解放されないと宣言した。
首を捨てて剣を取れって、なんか怖ろしい命令ですよ。
歩兵同士の戦いでこのようなことが起こっている中、グラックスは騎兵に対してヌミディア騎兵が守るハンノの側面を攻撃するように命令した。ヌミディア騎兵はその技能を発揮してローマ騎兵の攻撃に対処し、勝敗はわからなかった。
ヌミディア騎兵は優秀だから、騎兵だけではカルタゴ軍の方が有利だったかもしれない。
しかしながら、グラックスは伝令兵を派遣し、奴隷兵士に対して、敵を直ちに打ち破らない限り自由の身にはなれないと再度伝えた。これが功を奏し、奴隷軍団は最後の捨て身の攻撃を実施した。
なんか嫌な戦いになってきた。自由と引き換えに奴隷を戦わせたり、奴隷が死体の首を切ったり、騎士道精神などかけらもない。
ローマ軍も兵士の数が少なくなって、必死だったと思います。
これに耐えかねたカルタゴ軍は自身の野営地に向って退却したが、ローマ軍は直ちにこれを追撃した。カルタゴ軍が野営地に戻ると、ローマ人捕虜が武装して待ち構えていた。カルタゴ軍は完全に包囲され、撃滅された。
ペドロ2世の好きな完全包囲だ。
いや、なんだか後味の悪い戦いだ。
この猛攻撃によりハンノの軍は完全に壊滅し、野営地も占領された。戦場から脱出できたのは、ハンノ自身も含めて2,000人以下であった。ローマ軍の戦死は2,000人に留まった。
奴隷の兵士は自由を得られるということで死に物狂いで戦ったのですね。自分が欲しいと思う最上のもの、神の救いだったり自由が得られるとなれば、人間は簡単に人を殺し残虐になってしまうと思いました。
グラックスは勝利の後には奴隷を解放すると宣言していた。しかし4,000人程度の兵士に対しては戦場での勇気に欠けたとして、不快感を示した。それらの兵士に対しては、残りの兵役を務める間、夕食を座ってではなく立って食べるように命令した。
奴隷に対して同じように解放するにしても、勇気を示した者とそうでない者をはっきり目に見える形で差別した、大勢の人間を支配するうまいやり方です。
ハンノが新たな軍を編成してハンニバルと合流することを阻止するために、戦闘の後にグラックスはルカニアに向った。続いてグラックスはハンノをブルティウムに押し込んだ。必要としていた援軍を得る見通しが無くなり、ハンニバルはカンパニアでの作戦を成功裏に進めることができないという現実に直面することとなった。
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