154、アラビア語の長母音(2)

文字数 1,176文字

アラビア語の長母音についての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
今日はアラビア語のターリブ(学生)という言葉を見ていこう。ターリブには(アー)の長母音を表すアリフが使われている。
他にターリブ(学生)で使われている文字はター(t)、ラーム(l)、バー(b)ですね。対応するフェニキア文字、ヘブライ文字はテト(車輪)、アレフ(雄牛)、ラメド(突き棒)、ベート(家)です。
ター(車輪)、アリフ(雄牛)、ラーム(突き棒)、バー(家)の4つの文字とターリブ(学生)の関係か。これはさすがの余でも難しい。どれもみな比較的大きなものであるが・・・
ペドロ2世は前回スーク(市場)に使われている3つの文字、スィーン(歯)、ワーウ(鉤)、カーフ(針穴)は市場には売ってない小さなものばかり集めたとこじつけていました。今度は学生とは関係ない大きなものばかりだと言うのですか?
フアン1世は余をバカにしているのか。
待ってください。僕がいい解釈を考えました。
ターリブ(学生)とは学ぶ人です。僕の時代もそうですが、昔は学校で学ぶことが出来るのは少数の恵まれた子供だけでした。ター(車輪)は馬車などの車輪ではなく、運命の輪を象徴しています。僕もそうですが、学ぶことができた者は自分の運命を変えることができます。そしてアリフ(雄牛)は富や権力の象徴でもあります。学んで知識を得た者は運命の輪を動かすことができ、動かすのに必要なのがラーム(突き棒)です。運命の輪を動かすことができれば、富や権力を手に入れて家を買うこともできる、学生となって学ぶことができれば、豊かな未来を手に入れることができるのです。
素晴らしい解釈だ。余は感激した。
でも知識というものは、必ずしもいいことばかりに使われているわけではありません。知恵を使えば、自分勝手な解釈で多くの人を惑わせ、動かすことができてしまうのです。学生となって学べば、悪い知恵を身に付け、今までの宗教、政治体制、思想を捻じ曲げてしまうこともできます。運命の輪を回す突き棒を手に入れた者は個人が富や権力を得るだけではない、国を動かし滅ぼす力も持ってしまうのです。
ターリブ(学生)という言葉にそんな深い意味があったとは・・・
あ、でもこれは僕が今思いついたことです。
ターリブ(学生)という言葉を連結形にする時、アリフは後ろに文字を続けないからそこで区切り、次のラームは語頭の形で始める。
アラビア語で長母音は面倒だと思ったが、音を伸ばすことでその音を充分に感じて自分の中に取り入れることができる。そしてアリフもワーウも後ろに字を続けないから一度区切ることになる。アラビア語というのは目で見て音を感じ、全身でイメージできる言葉である。だからこそギリシャの哲学や数学のようなわけのわからない内容もアラビア語で翻訳され、後の時代に伝えることができた。
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