22、ポエニ戦争(8)

文字数 1,294文字

すみません、いよいよこれからペドロ2世が楽しみにしているハンニバルのアルプス越えの話が始まるのですが、どうしても気になることがあるので、質問してもいいですか?
フェリペよ、気になることがあるのなら、どんどん質問してくれればいい。
作品集のページには下の画像から入ってください。
僕が疑問に思ったのは紀元前のまだキリストが生まれる前の時代、そして大きな国を支配していた王でもないハンニバルがなぜそれだけたくさんの傭兵を集め軍隊を作れたかということです。
紀元前の戦いはギリシャとペルシャの戦い、アレクサンドロスの軍隊とペルシャ軍の戦い、さらにもっと昔にはエジプトとヒッタイトの戦いなども記録に残っている。
エジプトとヒッタイトの戦いというのは粘土板に記録が残っていたのか?
ニコラさんは粘土板とか楔型文字に興味があると思いますが、あんまりマニアックな話はしないでください。
紀元前の戦争は大体大きな国や都市国家が関係しています。スパルタのような都市国家は軍事国家として栄え、常に訓練を続けていました。でもカルタゴは外国人の傭兵を多く使っています。しかもハンニバルはカルタゴではなく開拓地のカルタゴ・ノウァを拠点にしています。開拓地のヒスパニアでなぜそれほど多くの傭兵を集めることができたのでしょうか?
余の時代にはもう国の中で戦争の準備は整っていた。封建制度があり、騎士という身分があったから、王はただ諸侯や騎士に声をかければよかった。
ハンニバルがいた時のヒスパニアは開拓されたばかりの土地で、国としての制度は整っていなかったと思います。そこでどのようにしてハンニバルがあれだけたくさんの傭兵を集めることができたか不思議です。
そしてもう1つの疑問はハンニバルが紀元前の人間だということです。キリストが生まれる前の多神教の世界で、ハンニバル自身やたくさんの外国人の傭兵はどのような宗教、価値観を持って1つにまとまったのでしょうか?
確かに十字軍の時、教皇の演説があって聖地を取り戻すことが神の意志であると言われたからこそ、あれだけ熱狂して異なる国の兵士が1つにまとまった。十字軍に参加すれば途中で戦死しても全ての罪が許され魂が救われるという強い信仰があったから、多くの者が十字軍に参加した。
ニコラさんのお父さんは十字軍の戦士でした。
私の父は悪名高い第4回十字軍の戦士であった。第4回十字軍は資金不足でエルサレムには行かず、結局コンスタンティノープルを襲って東ローマ帝国を滅亡させ、ロマニア帝国を建国した。私の父はその時領土をもらって私が生まれ、教皇は結局ロマニア帝国を許している。十字軍は神の救いと現世での土地や財宝、両方が得られる戦いだったからこそ人々は熱狂した。
レコンキスタも同じである。それぞれの利害を巡って対立していたアラゴン、カスティーリャ、ナバラが同じキリスト教国であると協力したからこそナバス・デ・トロサの戦いでの勝利があった。
強い宗教や国家というバックボーンがない中で、ハンニバルはなぜあれほど多くの傭兵を集め、アルプス越えを成功させることができたのか、学習を進めながら考えていくことにしよう。
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