43、カルタゴという地名(1)

文字数 1,275文字

今日はカルタゴという地名について詳しく見ていくことにしよう。
作品集には下の画像から入ってください。
この絵はターナーの『カルタゴを建設するディド』です。ターナーはカルタゴを題材にした絵を何枚も描いています。実際にカルタゴの遺跡を見たわけではなく、当時のイギリスではエキゾチックな遺跡と美しい自然の風景を組み合わせた絵が流行してコンクールでも高い評価を受けていたので、コンクール出品用にこうした絵を何枚も描いたわけでもあります。
「カルタゴ」のフェニキア語のカルト・ハダシュト(Qart hadast、新しい町)に由来するとされる。
確かにカルタゴは新しい町です。伝説ではディドがやってきてカルタゴを建設したし、ハンニバル・バルカの一族はイベリア半島に来て新しい都市を建設しているし、バルカという苗字が名前の由来にもなっています。
カルタゴはフェニキア文字で7文字で書いてありました。最初カルタゴの英語Carthageで当てはめてみようとしたのですがうまくいかず、カルト・ハダシュト(Qart hadast)ではぴったり当てはまりました。


カルタゴ、すなわちカルト・ハダシュト(Qart hadast)には7つのフェニキア文字が使われている。コフ(針穴、発音q)、レシュ(頭、発音r)、タウ(印、発音t)、ヘト(棚、発音h)、ダレト(扉、発音d)、シン(歯、発音s)、テト(車輪、発音t)
本当だ、発音とぴったり合っている。
カルタゴ、カルト・ハダシュトは書いてあったフェニキア文字が発音とうまく合っていたので感動しました。フェニキア文字は本当に音素文字で発音を表しているのだと。そして、カルト・ハダシュト(新しい町)という名前はカルタゴを表現するのにぴったりだと思いました。フェニキア人は紀元前1500年以上昔から地中海を航海して交易を行い、植民都市を作っていた、常に新しい場所を求め、その精神はハンニバルの一族まで続いていると思いました。
余は生涯の大半を修道院で過ごして修道院の中しか知らないから、新しい場所へ行きたいとは思わない。
僕とニコラさんは修道士だけど、生涯で2回、新しい場所に修道院を作るという経験をしています。最初はエルサレムからシチリアへ、そしてシチリアからカタルーニャへと移動しました。シチリアへ移動したのは僕が15歳でニコラさんが30歳の時です。
私達は修道会が拡大する時代に生きたから、海を渡って新しい土地へ行くという経験を2回している。それは私達にとっては大冒険でもあった。そして地中海の東岸にあるエルサレムからシチリア、カタルーニャと移動した旅は、フェニキア人の旅と重なっているのかもしれない。私達もまた新しい町へ行き新しく修道院を作った。その当時の記憶がカルト・ハダシュトという音の響きから蘇った。
ニコラさんはすごく強くて知識もあったから、みんなニコラさんを頼りにしていました。
余もレコンキスタの戦いの中、まだ見ぬ土地へ向かう時はわくわくした。
カルタゴ、カルト・ハダシュトという音の響きは新しい町への期待と不安が込められていると思います。
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