73、ポエニ戦争(39)
文字数 1,302文字
この戦闘で、ローマ軍はおよそ6万人の死傷者(大半が戦死)を出した。また、野営地に残されていた1万人はカルタゴ軍に降伏し、捕虜となった。その日の最高指揮官であるウァロは戦場から逃れたが、一方の指揮官であるパウルスは戦死した。
そうですけど、この前の戦いでミヌキウスはファビウスに助けられ、自分の負けを認めて副官の地位に戻っているのです。自分の弱さを認めるなどなかなかできることではありません。そしてやっとファビウスといい関係を築くことができたのに、その後の戦いで死んでしまうなんてあまりにも悲しいです。
僕もそう思っていました。戦争の話だから人が死ぬのは当たり前だと・・・でも詳しい話を聞く中で、カルタゴ軍でもローマ軍でもそれぞれの人の性格とか軍隊のシステムや価値観などが少しずつわかってきて、彼等と一緒に旅をしているような気持になってきました。
余も別にミヌキウスや他の指揮官の死について全く何も感じないわけではない。ローマの軍隊で厳しい訓練を受けて選ばれた精鋭だけが指揮官になれる。そして戦いの時、どれほどの強さがあっても状況が不利であれば負けて殺される。戦場は理不尽な死で溢れている。