220、ウガリト文字の学習(22)

文字数 1,157文字

ウガリト文字の学習についての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
今日はウガリト文字の26番の文字を見ていこう。26番の文字は「クフ」(針穴)に対応している。
「クフ」(針穴)というのはペドロ2世が嫌いそうな文字ですね。
余は大胆で豪快な性格で知られているペドロ2世だ。「クフ」(針穴)などという細かいものは本来は好きではない。それにフェニキア文字は大体大きな物から小さな物へと並んでいるのに、ここで突然「クフ」(針穴)など出してしまったら、もう続きが出せないではないか。
でも「クフ」(針穴)はウガリト文字、フェニキア文字、ヘブライ文字、アラビア文字、そしてラテン文字とほとんどすべての文字に含まれています。
全くいつ、どこで、誰が、何のために、どういうきっかけで「クフ」(針穴)という文字を使い始めたのだ。こんなに小さくてややっこしい文字を・・・
26番の文字のすぐ前は25番の「ツァディ」(パピルス)です。
それまではよい流れで文字が続いていた。「サメフ」(魚/柱)、「アイン」(目)、「ペー」(口)、「ツァディ」(パピルス)だ。神殿が作られ、神の目が開かれ、神官が神の言葉を聞いてそれを口で伝え、パピルスに書き写された。何も問題はないはずだ。それなのになぜ突然「クフ」(針穴)などという全く関係ない文字が出て来るのだ?
それにフェニキア文字やヘブライ文字の「クフ」(針穴)は針穴らしい形をしているが、ウガリト文字の26番はそうでもない。どうも気に入らない。
ペドロ2世やヴェンツェルのように大雑把で大胆な性格の王は、家臣に細かいことを言われるのは嫌いだと思います。でもそれで自分勝手な行動をして、結局戦死したり統治がうまくいかなくなったりしています。もし2人に細かい所を突く針穴のような家臣がいてくれたなら、結果はかなり違っていたと思います。
26番の文字は「クフ」(針穴)に対応し、いろいろな場所で同じ意味の文字が使われています。そして直前にある文字が「ツァディ」(パピルス)でこれも同じです。神の言葉がパピルスに書き写されてもそれで安心してはいけない、その中に間違いはないか、針穴のような細かさを持って調べなければならない、だから「クフ」(針穴)という文字があるのです。
なるほど、そういうことか。
でも実際の歴史は昔の史料を細かく調べてばかりではありません。誰かが大胆で新しい解釈をしてしまえば、その方が正しいこととして伝わってしまいます。神について都合のいいように解釈し、その集団こそが最も正しい者の集まりと思い込み、そこからさまざまな争いが生まれます。文字として書かれた言葉は針穴のように詳しく調べなければならない、さまざまな場所で生まれた文字はみな同じことを警告し、「クフ」(針穴)という文字を使っています。
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