90、ヘブライ文字と発音記号(5)

文字数 1,289文字

ヘブライ文字と発音記号についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
アラゴン王の勉強会というのはこうやって文字を比べることばかり延々とやっているのか?
いえ、いつもならそろそろペドロ2世の好きなポエニ戦争の話になるはずですが・・・
私もそのつもりであったが、文字の勉強をどんどん進めるようにという上からの指令があった。
上からの指令って誰ですか?
私達が暮らしている修道院のずっと昔の修道院長だった伝説の修道士ニコラだ。
伝説の修道士と言われるほど偉くはないが、医学の歴史について学んでいく中、ガレノスなど古代ギリシャ、ローマの医学が1度アラビア語に翻訳されてその後ヨーロッパ世界に入ったということを知った。つまり医学の歴史を知るにはアラビア語の学習も必要だということだ。
ニコラさん、また無茶なこと言っていますね。
別にアラビア語を完全に覚えることなど目標にしていない。ただ、せっかくフェニキア文字を学んでいるのだから。ついでにアラビア文字に触れたらいいと提案しただけだ。
というわけで、アラビア文字の学習を入れるためにも文字の学習の時間を多めに取るようにした。ペドロ2世にとっては退屈かもしれないが・・・
そんなことはない。余はどんな形の文字でも兵士の並び方に置き換えて考えることができる。
では学習を始めよう。フェニキア文字、ヘブライ文字のザインは武器という意味を持っている。
どんな時代でも武器は大切ですから。
フェニキア文字もヘブライ文字もザインはわかりやすい。これなら余にもすぐ覚えられる。
ザインの発音はzのザインに短母音アのパタフ、イを表す長母音ヒリック・マレーに、nのヌンが言葉の最後なのでソフィートになっています。
おおー!長母音を示す旗が出て来た。だがどうして最初は短母音なのだ?
長母音ばかり続くと息切れするからではないか。ザインは武器という意味だ。重い槍を持ってはそう長くは走れない。
なるほど、ヘブライ語というのは重い槍を持つ兵士の苦労を考えて発音も考えているのか。
ヴェンツェル、ペドロ2世の言うことを全部本気にしないでください。かなり適当なことも言ってますから。
次はヘットという文字、柵という意味だ。
これもわかりやすい。フェニキア文字は2段の柵でヘブライ文字は1段だ。
ここでフェニキア文字とヘブライ文字の大きな違いを説明しよう。フェニキア文字はヘットを見てもわかるように完全包囲された部分がある。だが、ヘブライ文字は完全包囲ということを嫌い、どこか隙間を開けようとしている。
そんな違いがあるのか。
ヘットの発音はヘットの文字に長母音エのツェレー・マレー、それからtのタヴです。
この場合は長母音は1つしかないから安心して使えるのか。
そういうことだ。長母音が続くと息切れする。
長母音が続いたぐらいで息切れするのですか?
フアン1世は戦場に行ったことないからわからないだろうが、広い戦場では大きな声を出さなければ命令は伝わらない。指揮官が息切れするわけにはいかないから、簡潔でわかりやすい言葉が好まれる。
ペドロ2世は実際に何度も戦場に行っている人なので、言葉に説得力があります。
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