三十三の一 本堂の二人
文字数 1,930文字
会話が途絶えていた。お寺の空気より俺達のが寒々している。ドロシーが俺を見る。顔はあわさない。
痛みをこらえて立ちあがる。ドロシーが俺の横を過ぎる。
彼女は閉じたばかりの戸をひろげる。
開けた戸から夏の日差しが飛びこんでくる。
だから質問をさらに返す。
ドロシーがくしゃくしゃの顔でにらんでくる。
へっ、あんな術も避けられないくせに偉そうに。
シノに電話を借りて、お爺ちゃんの許しを得た。だから九郎がパソコンを持ってきたら、MP5の出力をあげられる。銃が壊れるまで雅にぶちかます。
そもそも、お前とはいずれ戦うかもしれない。誰が敵の傷を治すものか
『キキキ、痴話喧嘩とは悠長だな』
次回「惑わし惑わされ」