三十九の一 餃子の皮作戦とでも名づける?
文字数 2,772文字
俺の帰りを待ちかねたように、青い小鳥が肩にとまる。
ちょっと手間どってね。でも、おかげで思玲の扇ができた
(それだけしか伝えられない。小鬼はまたあいつらの陣営に戻ったから、みんなに隠さないとならない。峻計に暴かれないために……。さきほどのやり取りを思いだす――)
(ベンチに座った横根が思玲に尋ねる。こんな時間にこんな場所に、なんで人間がいるのだろう……。俺達のために決まっている。自分だけ人に戻って終わらせないためだ。
横根こそ、なにがあろうが守らないとならない)
川田も立ちあがり、空へと鼻を向ける。
小鳥はためらいつつも横根の肩へ飛ぶ。思玲が横根をフェンスの角へとうながす。
出来栄えに不満げな顔を見せつつも、彼女は額の汗をぬぐう。
次回「聞き覚えはあるけどさあ」