三十八の一 宵待少女
文字数 2,537文字
あなたは香港経由で南京に戻ることになりました。旅をお楽しみください。
……日月潭の森で祭師兄を殺したのは、私ではございません。あなたの最終目的地で、祭が火にあぶられながら待っています。あの夜の出来事は、地獄の底で奴からお聞きください
ありふれた雲がくすんできた空へと叫ぶ。
少女が横根の腕を引く。
言葉と裏腹に俺へと笑う。
それだけ言っておく。……いまでも川田は横根を守るだろうか?
次回「木霊」