二十四の二 温故知新なお付き合い
文字数 2,342文字
バイブが鳴ってない？ 気のせいかな
ｷｮﾛｷｮﾛ
（壮信がきょろきょろする。
宙に浮かぶ琥珀がパーカーのポケットから返そうとしなかった天珠を取りだす）
（明日の昼までには一段落させるから）
御意。
……御意
彼女と過ごしたいなら、自分の下宿部屋を使えよ。俺の宿泊費は？
ズズズ
（涙がでそうになる）
兄ちゃん……、なんかやらかした？
するはずねえら！
（はやく去らないと。この家に来た本来の目的だけ告げる）
金を貸してくれ。お札代と一緒にすぐ返すから
実家をもう一度見あげる。俺の部屋にはあえて入らなかった。どうせ必ず戻ってくるから）
俺達へと顔を向ける）
シノから、異形であった哲人と野良猫の記憶がなくなったらしい。そんな混乱した状態で女子だけで河原を探すのは危険とご判断なされた
しかしドーンより重い
俺は飛脚だからな。喧嘩ぐらいならできるが、さすがに出入りは不向きだ。
その役目のが性に合う。ただ、あの馬鹿犬をさんざん見てきたのに、あれの気配に気づけねえ。せめて、どの辺りか分からねえと辛いな
まだ見えるぜ。のろいにもほどがある。だいぶ経ってから追わないとじれちまう。
どんなに離れようと、俺は見たものを追える。あの野郎、変げそれぞれで気配がまったく違うけどな。
ところで哲人、車は使わないのか？
（こいつは興奮したドーンなみに早口でまくしたてる。免許証は財布のなかだ。財布は破壊されたユニットバスの中だ。それに母の軽自動車を傷つけられない）
運転は不慣れだから、車で飛びまわれない……
（ふと思玲の話を思いだす）
九郎は張麗豪のもとに飛んだのだよね？ だから行方不明だった
牢屋を抜けでた麗豪様に呼ばれて、逃亡の道案内をさせられて、伝令するのに老祖師を探すのに難儀して、ようやく奴らへの最後のお勤めを果たしただけだ
古いスマホは魔道具で物理的に破壊されたと告げたら、安堵してくれた）
（彼女はすぐにでる。歩きながら俺も答える）
次回「改竄されたとしても」
