三十四の一 座敷わらしとやさぐれ猫
文字数 1,827文字
質問がだらだらと続く。ふいに気配をまるだしにして、ずけずけと歩きだす。
ふいに声がした。路地の塀に雌猫が座っている。……くたびれた風貌から察するに、こいつも野良猫だろう。
質問を受けて、野良猫が不調法に俺をながめる。
フサフサは立ちどまっていた。駆けだして、また立ちどまる。ひげがかすかに上下する。
フサフサにうながされて、細い路地から駅前通りにでる。電線に沿って進む。
俺は道へと降りる。野良猫と並んで進む。
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