十一の一 信じてもらえた異形
文字数 3,023文字
ドロシーは充血した目で俺を見つめる――。
ドロシーがリュックを俺へと突きだす。
ドロシーがちいさく微笑み、銃を逆の肩にかけなおす。
(楊偉天が青龍を生みだそうとして、俺やリクトとか巻きこまれて、それを思玲が守ってくれたらしい。
勝ったのか負けたのか知れないけど、俺とドーンだけ人に戻り、リクトは犬に、思玲は女の子になった。サークルの女の子の一人は行方不明、もう一人は龍になった。
……みんなを救うために、俺達はこっちの世界に戻ってきた、らしい)
問題ない。
三年前、思玲は十四時茶会に呼ばれた。つまり、魔道団の古老と最強の魔道士達が取りしきる幹部会で喚問された。
……彼女は車を炎上させて、裁判所の門を破壊したらしい。でも人は傷つかなかったし、よその国のことなので、最終的にお咎めはなかった。
で、せっかくだから若手同士で手合わせすることになった。私やアンディの二つ下だから、彼女はまだ二十一、二歳だった
フウ
次回「前夜祭の始まり」