チャットで5-tune 四神獣達のダイジェスト
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文字数 2,816文字
走れ!
(護布を背にはためかせながら、握ったままの彼女の手を引く)
くそっ
気持ちは分かるが、なおのこと四玉の箱を探してくれ。
箱を開けて殺せば、青龍の光は玉に戻る。思玲を探してくれ
(俺への殺意などなかったかのように、あいつが言う)
まずは梁勲(リァンシン)の孫
サッ
ヒグラシは遠くで鳴いている。もう五時は余裕でまわったよな。日没まで時間がない。夏奈を呼びたい。こいつらを追い払いたい。いや倒したい)
双鞭
(俺は彼女の体を引きずり降ろそうとして、一緒に持ち上げられる)
ま、松本重い。苦しい。でも離さないで
(俺がドロシーのクッションになるが、痛みがないから平気だ。
背中から護布を引きずりだしたところで、
くっ
(振り向いたところに正拳突きが飛んでくる。痛くはないが、奥歯が数本砕けた)
おらっ
ナデナデ
(あいつが姿を現した。俺たちを包むサテンを引かれて、体まで引きずられる。ドロシーが俺の腰に手をまわす)
ムギュッ
り、麗豪を倒せ。はやくしないと窒息する。ひ、人除けの……
!
フッ
俺から手を離す)
(杉の枝を折りながら、張麗豪も落下する。俺は地面に転がるドロシーに護布をかける)
(彼女は振りはらい立ちあがる。七葉扇を横たわる男へと向ける)
?
(峻計は麗豪を蔑んだ目で見ていた。
とは言っても、ドロシーは目をひろげて固唾を飲んでいた。俺だって。人には人の作りし武器も恐ろしい)
龍を呼んでいたら、お前をここで殺せたのにな。
だが、いずれお前は龍を呼ぶ。しがらみなくお前を殺せる。
……あの娘の名前を私は忘れた。急がねば、あの娘もお前を忘れる
あっ
(身をさらけだし、扇を振るおうとする。俺は彼女を引きずり戻す)
もう充分に守ってくれたから、あとは俺が守る
(昨日の今ごろ、なにも知らずにこっちの世界に出没した妖怪変化を守ってくれた)
……こうして彼女を抱いていると、俺達が無敵のように感じる。あの笑みが遠ざかるように感じる。ヒグラシが鳴くだけだ。カラスが邪魔してくれない)
次回「再々集結」
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