四十二の二 新月空中戦
文字数 2,918文字
(カラスに戻ったドーンが巨大な羽毛にもぐってぼやく。
俺だって白猫をカイロ代わりに抱えている。本来ならば星五個とレジェンドの戦いだろうが、凍死しようが窒息死しようが夏奈のもとへ行きたい。とても無理だから地上に呼び戻したい)
『ギギギ、新月の夜だと読めたりして』
『なぜならサキトガは俺を狙うから。ご名答』
サキトガの気配が近づく。
『横根瑞希。
松本哲人はこの状況下で、中学生になったお前の体に興味を示している』
『教えることがあったな。
パンパカパーン、哲人君の前回のお相手は――』
『やり直すぜ。
松本哲人。
契約を反故にしたうえに関わったロタマモを消滅させ、龍を脅したな。報いとして――、ギギャッ』
ドクン
俺はサキトガの爪をこじ開けて、体を開放する。
川田を乗せた大ワシが上空を舞っている。ドーンはつむじ風のようだ。俺は目から黒い血を流す巨大な妖魔の顔へと浮かぶ。でかいが倒してやる。
次回「滝」