二十七の二 連れと途中下車
文字数 2,233文字
小鬼が手を差しこんで、
琥珀も舌を打つ。
俺は電車の後方に走り、単線をまたいで反対側に行く。木に手をかけて段差から林へ降りる。
『ホホホ、私の存在がばれてしまったな』
俺は立ちどまる。琥珀を見あげる。こいつも楊偉天によって――。
(前の路地から、二人連れが飛びだしてきた。白人のバックパッカーであるはずなく、完璧なまでに異形の気配が漂っている。若い白人男女は無表情に俺へと歩いてくる。
こいつらは人に見える存在だ。俺は人の体のままで忌むべき異形と戦わねばならない)
次回「白昼のタコ殴り」