十五の二 考察は武器
文字数 2,369文字
宙に浮かびながら、思玲の寝顔をぼんやり見ていた。
(いまの白虎くずれはフサフサだよな。フクロウ達は興味も示さなかった。すごい生贄になりそうなのに。それに、あの青年は屋上で箱を持ち去ろうとしなかった。重たかろうが、持って帰れば完了だ。ならば白虎は関係ない。箱すらも関係なくなる。
横根が連れ去られたのはたまたまと仮定すべきか? 俺の交わした契約のためだけと)
(式神にこだわらなければどうだろう。
楊偉天が言う荒ぶる龍でもOKとする。四神の青龍を必要としないのなら儀式も必要ない。でも荒ぶろうが完全なる龍を求めるなら――、青い光をかき集めることはなおも必要。ならば箱は必要。
屋上の青年は、箱に人が閉ざされていると言っていた! 自身は人と関われないとも)
(あの青年が魔道士だとしたら、あの箱には触れられない。その魔道士が邪悪だとして(使い魔を使うのだから当然だ)、箱に触れられるほどの力を欲するとしたら……。そのための生贄が横根。明日の夜に彼女の魂を得て、使い魔の飼い主はさらなる力を得る)
(少女の寝顔を見ていたら、肝心なことを思いだした。
あの青年が思玲を箱から救いだした。つまり箱に関われる。つまり魔道士ではない。理屈が破綻した……と見せかけて、逆にひらめきかけている。もう少し考えろ)
(でも状況は急変した。青い破片は再び俺の中に戻った。もはや箱があろうが青龍は生まれず、玉があろうが完全なる龍とはならない。だとすると箱でも玉でもなく、俺だけが奴らのターゲットだ。俺こそが大姐がのぞむ撒き餌)
思玲が存在しない眼鏡をずりあげる。目を細め、
次回「桃畑の八人」