四十三の三 夜空から襲撃
文字数 2,501文字
藤川匠を追いつめる。サキトガも現れざるを得ない。
もし、そいつが力に目覚めていたら、それは人間の魂を奪う重罪を犯した結果だ。だから私が成敗する。
だが、そいつに人としての力しかないのならば、お前達だけで倒せ
(張麗豪の空中からのトリッキーな攻撃は、強烈でなくてもきつい。
見えない竹林もドロシーがいないと厳しい。
さらには法董の冥神の輪。
土壁の魔道具。巨大な式神。神殺の鏡。
しぶとくしつこい峻計。
メンバー的にはあいつらのが脅威だ)
(どっちにしても急降下攻撃か。……そこに藤川匠がいる。あいつを倒して、ドロシーを奪還する。夜半を迎えても行き場のない夏奈を、全員で呼び戻す。みんなで人に戻る。
そんなにうまくいくだろうか。仮に大団円を迎えても、まだやるべきことがある。思玲……)
おとなであった彼女を思いだす。
泣き顔も悪そうな顔も笑顔も、抱えられたぬくもりも……。
台湾の民歌。若者と娘の出会いの歌だ
結界内に浮かんだドーンが嘘笑いする。
俺も浮かびあがってみる。人家の明かりもまばらな山間だ。
沈大姐が先端の狼に問いかける。
川田は振り向かない。
俺も法具を手に続かないとならない。浮かびあがり振り向くと、沈大姐は空中で直立していた。その下に見えない殲がいるはずだ
次回「陽炎の村」