二十二 座敷わらしと猫おばさん
文字数 1,908文字
杉の古木に受けとめられた。山林のはずれにふわりと落ちる。
俺は石段を這って登る。女の子が降りてきて支えてくれる。
俺はリュックに手を伸ばす。
やらないと納得しないのだろ。松本こそいったん人に戻るべきだしね。
分かっているだろうけど、僕の祈りとありあわせの天珠では、もはや回復は望めない。あの老人は松本への致命傷をあえて避けたのだろうけど、それでも芳しくない状況だ
そもそも、和戸は仲間への思いだけをひたすら守ったのだろう。だからこそ記憶は残った。
……さきほどみたいに記憶は青龍の光があれば蘇る。人に戻った松本の前で、僕が箱を開けてやる。座敷わらしか鱗人間になった松本に、青龍の玉を触らせる
黒い光がふわふわと寄ってくる。
一喝する。光が玉に戻る。
峻計と麗豪を思い浮かべる。
フサフサが消えていく……。
使い魔達を思い浮かべる。
四玉に命ずる。さらに楊偉天を思う。
なのにフサフサの魂は東の空を見る。軽やかに天へと走りだす。
なにかが頬をくすぐる。……俺こそあがけ。
次回「バトンタッチ」