三十九の一 マジにさせてしまった
文字数 2,219文字
林に逃げこめ
『残り26秒。
まずお前を食い殺し、横根瑞希を連れて四国に行く。父親が五百二人目で、母親が五百三人目だ。
……夜半には匠様のもとにたどり着く。今度こそ俺を抹殺していただき、俺の腹を裂き青龍の光をお受けとりいただく』
ぽいっ
カーカー
俺は奴へと飛びかかる。巨大なサキトガが笑う。
ひええ
(宙に浮かんでいた奴の前で、灌木を折りながら無様に転がる。頭だけを抱えて落ちていく。
さらに絶壁から渓流へと数メートル落下する。岩にぶつかり、沢に尻から落ちる。
今度は数メートル流されて岸へと這いあがる)
無理ゲー
(……痛くはないから、さすれるところはすべてさする。折れたらしい右大腿骨と左踝も復活する。
びしょ濡れだ。ここはどこだ。仲間がどこかも分からない。谷底から見あげても、雷雲の兆しなどありやしない)
次回「幼き翼」