四十八の四 月神の剣
文字数 1,994文字
竹林へと黒い炎が落ちる。小柄な異形を消滅させるには過剰すぎる炎。
青龍が貪に絡みつく。互いの首に噛みつきあう。
オーロラは薄まっていく。
禍々しい炎を受けた竹林が消滅する。
藤川匠が剣をかざす。
貪。僕は貴様を信用しない。だとしたら成敗されるのを選ぶか? それでも服従するか?
あのくだらない書は僕に媚びて真っ先に伝えた。大陸でお前を封じたのは三人と二体。
もう一人強い奴が生き延びていたら、もしくはもうひとつ強大な式神がいたら、お前はあの時消滅していたな
地響き。青龍が落下する。両脇の林と幅広い鞍部をふさぐ。龍は俺へと顔を寄せる。俺を見る目が塞がる。巨体が薄らいでいく。
俺は空へと頼む。
思玲は首を横に振る。俺を邪鬼のように見て、藤川匠をにらむ。
藤川も見つめかえす
藤川匠が貪に乗る。安堵した飛龍が俺を笑う。
あいかわらずだ。あいつらはしつこい。
次章「4.7-tune」
次回「醜くきは人」