八の三 さすがに無理
文字数 1,942文字
とか
……すでに暗闇だ。虫しか鳴いていない。なのに、ドロシーが地面に手をつき立ちあがるのがはっきりと見える。彼女が俺を見つめる。
フサフサが鼻を鳴らす。鎖を振りまわす。
思玲が提灯を踏みにじる。完全な闇のなか、なにも持たぬドロシーが俺をにらむ。最後に少女の陰影をにらみ、真っ暗な林道を去っていく。曲がり道で見えなくなる。
ドーンが見届けるために飛ぶ。漆黒の闇空にカラスがまぎれる。
思玲は真っ暗な林道に大の字にあおむけになる。
ドーンがリュックの上に乗りなおす。
次回「触れ合っていた二人」