四十一の一 この国の侍衛
文字数 2,069文字
雅の件は感謝しているが、引き渡すのは後日にしてくれ。
嵒駿であるガブロの破片だ。十年ぐらい温めれば消滅はしまい。百年もすれば仔馬としてこの世に現れる。……あの馬にふさわしい寝床を見つけるまで、俺は死ねない
手にした小石を見せる。
ま、松本です
(俺達に挨拶する。ヘルメットを小脇に抱えた、白シャツにスーツパンツの三十代ぐらいの男性だ。長身で均整のとれた体。知的な目に、隠せないワイルドなたたずまい――。こうなりたいと憧れる大人だ。
格好いい笑みを俺達に向ける)
(それは、姿を見るなり露泥無から指摘された。その式神ランクはレジェンド。つまり龍と同格。日本史にも名を残しているという。たとえば立ち往生した僧兵……。
そんな恐ろしい異形だとしても、立ち去られるまえに聞いておかねばならない。と言うか、彼からは畏怖とか漂わない。
折坂さんに会釈する)
この宮司専用機は特別にお借りした。これには君達に劣らぬものを封じてある。
……帰還の刻だ。あの方は私が離れるのをよしとしない。大蔵司と執務室長が傍らにいても、それでもなおだ。
進捗があったら大蔵司に連絡してくれ
次回「夜咲く妖花」