十五の三 桃畑の八人
文字数 3,332文字
露泥無が俺をちらりと見た。
おお
(彼女がみなをさえぎる。露泥無は俺達のこれまでをケビンに伝え、ケビンからは本隊のこれまでを聞きだす。さらには七月末の俺達の有り様までも伝える。さすがは沈大姐の式神だ。ずっと覗いていたからこそだけど)
(前の記憶を共有する俺と思玲、フサフサさえも黙りこむだけだ。峻計と、おそらくツチカベ。あの野良犬は劉師傅に結界を突き破るほどに殴られたが、異形と化して生き延びたと思うべきか。
……さらには魔道士が二人いる)
男が桃を投げおとす。
鋼をまとった馬が彼へと静かに歩み寄る。
ケビンの手に槍があらわれる。ドロシーとシノにふるう。
闇から猟犬が飛びでる。首をかばうケビンの腕に噛みつき、鋼のごとき筋肉にはじきかえされる。猟犬は俺の横に戻り、姿勢低くうなる。
シノがバッグを開ける。
ケビンの手から槍が消える。
次回「越すべき峰のひとつ」