三十九の三 使い魔さえも予測不能
文字数 2,560文字
彼女の眼差しに鼓動が高まる。俺しか彼女を助けられない。……横根を守るより先に、アグレッシブに、
『そいつに幻想を持つなよ。お前のパパとは違うからな』
『近しい娘には手をださない嫌らしさ』
『自分の部屋に持ち帰らない周到さ』
『ちなみに、その前のお相手は二十七歳』
(風軍まで聞いていやがる。
……。
……。
……大ワシは平気で飛んでいる。猛禽ならではの直感で、攻撃はないと分かっている……。
サキトガが心理攻撃しかしないのは、あの光で目をやられたから。回復されるまえに――)
え? え?
(互いの唇が重なった瞬間に痛みは霧散する。
服越しとは違う。これは祈りだ。横根から受けた祈りのように、傷が根源から癒される。いまは人間なのに……。
おのれの血さえも戻ってきた。大蔵司の血の力が消えていくのを感じる)
次回「再会して修羅場」