四十一の三 翼の四人
文字数 2,156文字
時間を確認しようとして、リュックに手を入れたらスマホが消えた。なおさら気になる)
陸海空に地中に宇宙(本当かよ)どこにでも存在できる、星ランク五個の満月系。
知性は皆無。過去の伝説的陰陽士をもってしても、討伐はかなわなかった……”
あの娘は幼いころの心の傷を背負ったままだ。そこで成長が止まっている。依存したい心が残っている。
それが松本に向かっている。だが彼女は松本を男として愛していない。祖父の庇護を受けられる魔道士のコロニー以外で、はじめて心を通えた人間だから、おさなごが親へと向ける感情を松本に抱いただけだ。
……もはやドロシーの居場所は松本だけだ。だけどお前は桜井夏奈を救うためにこの世界に来た。つまり、あの娘に居場所などそもそもなかった。
このまま消えるのが彼女にとって最善かもしれない”
過去になにがあったか知らないが、あの娘は閉ざされるほどに力を現す。たとえ魂だけで幽閉されても、松本の呼ぶ声にたやすく答えられるかもしれない。
そして、あの娘が放つ光は完全なる闇さえも消しかけた。つまり、いずれは僕ですら倒される存在だ。ゆくゆくは沈大姐や劉昇と並ぶ存在だ。
さすがに言いすぎか。でも、そこまででないとしても――”
昨夜の森で魔道団の代名詞でもある純度47の白銀弾は、あの娘が手にすると異様なまでに輝いた。あれも証かもしれない。
完全なる白銀など伝説だけの代物だ。だが存在するとしたら、それこそ龍を倒す者が持つべきものだろう……”
(ドロシーのリュックサックから護符をとりだす。ここからは常に手にしていよう。護布もとりあえずは俺がつかう。リュックをシャツの中に入れて、ベルトを締めなおす。
盆地の明かりが減っている。空からだと、こんなに速いのか)
幼い大ワシが笑う。
次回「元祖松本軍団」