四十三の一 法具と祈りと手負の獣
文字数 3,112文字
4.4ーtune
ムッ
誰の影響か知らないけど、人の話を聞くべきだな。
端折ると、サキトガも強かった。炎を吐けるとは思わなかったし、大姐をもってしても一振りで倒せなかった。つまり筋書きは狂ってしまった。だから仲間は多いほどよい。
川田こそ戦力だから、僕も合流したい。鷹笛を鳴らせば、みんなを乗せて風軍が飛んでくる。生きていればね。
……香港娘など知ったことじゃないが、松本と横根ならば桜井を呼べるのではないか?
(均整のとれた褐色のボディのサシトヨがいた。ほかの獣人達も姿を現す。白猫が総毛を立たせて威嚇する。
……五体か。異形の気配丸出しだけど、こいつらは人の姿だ。人の心を失った川田みたいに、俺に倒せるだろうか)
横根は第3ボタンまではずしたシャツにもぐりこむ。
その黒く塗られたネイルが伸びる。俺へとジャンプする。独鈷杵をおろす間もなくはじき飛ばされる。
サシトヨが溶けだす。その脇に倒れる俺へと、横根がまた祈りを始める。残りの獣人達が逃げていく。
俺の提案に白猫がうなずく。声を合わせて、
(川田はくわえていたお天宮さんの護符を地面に落とす。
俺達をたやすく見つけやがった。リュックサックを見つけた件といい、五感も肉体も卓越してないか? こいつは物の怪系でないというのに、満月になったらどうなるのだろうか)
?……!!!
次回「圧倒的式神」