何にしよう(2024.9.14)

文字数 966文字

 今朝、京都から東京に帰った。新幹線の車窓から土色の富士山がきれいに見えて、登らずとも十二分にパワーを頂く。きっと、今日は良いことがあるに違いない。何の根拠もないが、気は持ちようである。

 新横浜駅停車中に、妻からLINEで「帰りは19時頃になる」と連絡が入る。地元のフットサル協会の事務局をしており、休日は大会運営などで忙しいのだ。次男も大学で不在のため、せっかく単身赴任先から帰っても家には誰もいない。すれ違い夫婦……と言われても否定しないが、そんな生活を4年以上続けているから、これが僕らの日常であり、すれ違ってはいても危機ではない(たぶん)。

 猛暑の京都を抜け出した、と思ったけれど、東京もかなり暑い。誰もいない家で、クーラーの効いたリビングを独り占めして、珈琲を飲みながら雑文を書く。読んでくれた方がどうかは知らないが、僕にとっては至福の時間である。うんっ、幸せだ。珈琲も美味い。

 LINEの続きは「夕飯は任せる」とある。外食、スーパーの惣菜、あるいは料理。さて、どうしよう。何にしよう。好きに選べるのだ。なんて、贅沢な悩みだろう。外食も悪くないが、自分の食べたいジャンルを貫けない可能性が高いので、選択の自由という点ではマイナスポイントだ。惣菜は目新しいものがなければ、守りの選択となり、つまらない。ここは思い切って料理にしてみるか。自分の食べたいジャンルで、自分の好きな味付けをして。妻と次男がどうかは知らないが、僕にとっては至福の選択である。今日は時間があるから、じっくりと考えよう。

 しかし、じっくり考えてスーパーに出掛けても、その場で食べたいものが変わってしまうから、これからの時間はおそらく意味がない時間になる。それでも良いのだ。何にしよう、とアレコレと考えるのが至福の時間なのである。何を作っても、自分で作ったら何でも美味しい。だから、何でも良いのだけれど、何にしよう、と考えるのが楽しいのだ。

 何にしよう。

 これから、じっくりと考えるけれど、結局何にしたのかは書くことはないと思う。決まった後は、黙々と作るだけで、間違いなくつまらないので。もちろん、美味しいけれど。

 何にしよう。

 やっぱり、今日は良い日だ。さすが、富士山。五合目より先は登ったことはないけれど、眺めるだけでご利益がある。

 さて、何にしよう。
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