死因「老衰」(2023.3.5)

文字数 667文字

 祖父母と同世代で僕が幼い頃にお世話になった方々はほとんど亡くなっているのだが、義理の叔母さんのお母様で僕が幼稚園、小学校の頃にとても可愛がってくれた「おばあちゃん」がいて、先日96歳で亡くなった。家族葬だったので、日を改めてお線香を上げさせて頂いたのだが、叔母から死因は「老衰」だったと聞いて、何だか「あぁ、良かった」と思ってしまった。僕の祖母二人も90歳を超えての大往生だったのだが、死因は「老衰」ではなかった。

 調べてみると、最近は訪問医療が充実したことで自宅死が増えたことに加えて介護施設の増加により施設死も増えており、以前よりも病院で亡くなるケースが少しずつ減っているらしいのだ。結果的に「老衰」という死因が増えてきているらしい。心臓発作、肺炎、癌など死因は明確にあるのだろうが、90歳過ぎまで生きたら「老衰」でいいんじゃないか、と50歳過ぎの若造は思ったりする。感じ方は人それぞれだと思うけれど、「老衰」と言われたら、天寿を全うした、よく頑張って生きました、という気持ちになるような気がするのだ。もちろん、元気に100歳を超えて長生きして欲しいとは思うけれど、90歳でも十分に長生きだと僕は思うから。

 病院でチューブだらけになって延命措置されることが、果たして幸せなのかどうか、僕には分からない。既に僕は父母より長生きしており、父母よりも長く生きるという第一目標はクリアしたけれど、90歳は遠い存在だ。90歳を過ぎて生きた人に「老衰」以外の死因が必要なのだろうか。そんなことを考えながら、過ごす日曜日の夜。少し酔っている。
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