思いやり(2023.9.26)

文字数 581文字

 思いやりって何だろう。以前は、優しくすることだと思っていたけれど、最近は違う気がする。時には厳しく、時には冷たくすることも思いやりだと思うようになった。例えば、このままだと失敗するだろうな、と分かっているから、部下に手を差し伸べたら、失敗はしなかったが成長もしなかった。子育てもそうだ。転んでしまう、と思って手を離さなければ、いつまで経っても自転車には乗れない。どうしても行きたい大学があれば、浪人覚悟で挑戦させる。傷つかずに済んでも、後悔は残るだろうし、挫折を知らずに生きることになる。そして、真の喜びも悔しさも味わえない。つまり、相手の立場になって思ってあげられるかどうか。怪我なく、挫折知らずで生きることはほぼ不可能なのだから。思いやりの反対は過保護なのだろうか。あるいは自主性の排除なのだろうか。僕は父母にも上司にも好き勝手にやらせてもらった。なのに、先回りして選択肢を絞り、自由を奪っている。つまり、思いやりの欠片もない。誰かが傷つかないように、ではなく、僕自身が傷つかないように。本当に勝手だと思う。

 アレもダメ。コレもダメ。
 私のこと、信じていないよね。

 父母も上司も僕を信じてくれていた。結局、思いやりは信じることなのではないだろうか。人を信じる勇気がないから、僕には思いやりがないのだ。思いやりのはじめの一歩として、僕は君を信じることにする。
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