『最後は会ってさよならをしよう』神田澪(角川)(2023.11.13)

文字数 406文字

 Twitterで発表された140字の物語を中心に書き下ろしの短編小説、中編小説そしてエッセイを読むことができる一冊。著者のことは全く知らずに読んだけれど、全般的に瑞々しさを感じる。これは私かも、これは僕かも、これは友人のことだな、なんて読んでいると、あっという間に読み終えていた。縛りのあるショートショートとも言えるが、縛りがある中での工夫や他作へのつながり、連続性が面白いと思う。切なさと前を向こうとする明るさ、強さ。著者の「場面」を捉える視点と描写力、そしてそぎ落とす校正力が見事だ。時にはストレートのど真ん中、かと思えばチェンジアップだったり、消える魔球なんてのもあるかな。短い文章なので、ある程度読めると思ったのだが、面白いように裏をかかれた。通勤時や眠る前に読むのに向いている。たぶん、僕みたいなおじさんは想定している読者対象外だと思うが、十分に楽しませてもらった。

 中編「かえる」の続きが読みたい。
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