大型書店にて(2023.2.18)

文字数 528文字

 先ほどまで大型書店をぶらぶらしていた。ベストセラーのコーナーでは、今をときめく人気作家の新刊や映画化、ドラマ化の原作本が並んで「現在」を知るとともに、「現在」に取り残されてしまっている自分にも気づく。流行に乗れないというか、乗り遅れるというか、どうやって乗ったら良いのかが分からないのだ。周りには、俺は流行に流されないから、なんて適当なことを言っているが、真実はそんなところだ。
 岩波文庫のコーナーで足が止まった。
 当たり前だけれど、日本だけでなく、海外の古典、名作がずらりと並び、タイトルは知っている、著者名は聞いたことある、けど読んだことはない。そんな「歴史」の重さに圧倒されて、トイレに行きたくなってしまった。以前、浅田次郎さんが「本屋に行くとトイレに行きたくなる」とエッセイに書かれていたが、その通りなのだ。頭が痛くなるなら分かるような気がするけれど、お腹が痛くなるのはどうしてなのだろう?

 誰もが知っている(けど、読んだことのない)古典を、俺は死ぬまでにどれくらい読めるのだろうか? 馬鹿みたいと笑われるかもしれないけれど、真剣に考え込んでしまった。大型書店をぶらぶら歩くと、色々と発見がある。俺って、何も知らないんだなぁ、とつくづく思った。 
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