『魂の退社』稲垣えみ子(東洋経済新報社)(2022.7.25)

文字数 492文字

 元朝日新聞の稲垣さん。そう言ってピンとくる人は少ないだろう。元朝日新聞のアフロ稲垣さん。そう言われるとテレビ画面で見覚えがある人も増えるかもしれない。僕もその一人だ。
 学歴が高く、収入も高い彼女が、どうして朝日新聞を退社して無職になったのか、遡ること十年前からの心の葛藤と遍歴が書かれている。無職と言いながらも、執筆依頼はあるのだから、事務職の僕が退職した場合とは違うけれど、年齢も近いので考えさせられる点も多かった。

 自分のやりたいこと、残された時間と社会的信用、収入を天秤にかけて、あなたならどうする? 

 途中退職と定年退職とどちらがいい? という話ではない。定年退職にしても、何も考えずに「その時」を迎えるのと、退職後を考えて「その時」を迎えるのとでは大きく違う。当然ながら、辞めたくても辞められない人もいる。ただ、どんな人でもサラリーマンは必ず「退社」の日を迎えるのだ。
 分かっていることだけど、目を逸らして日々過ごしている僕には、良い刺激になった。まぁ、『魂の退社』を読もうとした時点で、定年退職も視野に入り、そろそろ考えなければならない、と思っている焦りだとも言えるが。
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