しなやかさ(2022.8.14)

文字数 320文字

 だいぶ、葉は散ったけれど、折れた枝はないようだ。
 台風一過の朝、庭の植栽を見て回る。本当は、居間の窓からでも十分に見渡すことができる狭い庭なのだが、雨の残り香と太陽による蒸発が混じり合った匂いと空気感が好きなのだ。
 昨晩、テレビで強風に吹き飛ばされる傘をたくさん見たので、余計に枝のしなやかさと強さに感心する。まともに風と喧嘩しては負けてしまうのだ。
 不器用な僕は、折れるまで喧嘩するから、社会でも会社でも、生き方貧乏と笑われる。使い捨てされるビニール傘みたい。今更変われないのは百も承知だが、枝のしなやかさに憧れる。しなやかさだけでなく、したたかさも持ち合わせていない僕は、どこまでも無防備だ。枝に憧れるのではなく、本気で学ばなければ。
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