ほんとうに美味しいパン(2023.4.29)

文字数 942文字

 美味しいパン屋さんは、たくさん知っている。でも、「ほんとうに美味しいパン屋さん」は多くない。僕が思う境目は、目を閉じたくなるかどうか。美味しいパンを食べた時、僕はニタリと笑う。ほんとうに美味しいパンを食べた時、僕はニタリと笑ったまま、目を閉じて口の中で感じるパンの香りを噛みしめたくなる。噛めば噛むほど、ほんとうだ、ほんとうだと心が呟く。ほんとうに美味しいと、決して叫びにはならない。

 今日の昼は「ほんとうに美味しいパン屋さん」の一つで、三種類を購入した。ハード系、セミハード、そしてソフト。それぞれ食感が違うから楽しい。クルミ、ラタトゥイユ、そしてチョコ。やはり、パンの美味しさを直接感じるのはハード系だと思うので、クルミから。いやぁ、いきなり目を閉じた。誰もいない一人暮らしの部屋にて。世間は黄金週間が始まったようだが、ぼっちパン。出歩くだけが幸せではない。狭い部屋でも、口の中が幸せなら僕は大満足だ。ラタトゥイユはレンジで少し温めると、とろけたチーズがアクセントとなる。圧倒的な具材の存在感だが、パンはしっかりと脇役に徹しており、何も主役になるだけがパンの美味しさではないと教えてくれる。単独のラタトゥイユとの違いを引き出した店主への信頼感が増す。そして、パンオショコラで締める。スイーツにもなってしまうから、パンは偉大だと思う。前菜、主菜、デザートとペーパードリップしたペルー珈琲で本日のランチは終了。

 美味しいパンとほんとうに美味しいパン、そして普通のパン。僕の中では、明確に線引きしているのだけれど、ほんとうに美味しいパンばかり食べれば幸せかというと、そんなことはない。美味しいパンも普通のパンもそれぞれに良さがあって、時々、普通のコッペパンが食べたくて仕方なくなることもあるから面白い。懐かしい味だったり、思い出の味だったりするのだ。

 今日、ほんとうに美味しいパンを食べたから、当面は、ほんとうに美味しいパンはいいかな。明日からは、最近はまっているファミリーマートの生コッペパンをしばらく飽きるまで食べると思う。イチオシはあん&バター入りホイップ。ほんとうに美味しいパンの話がいきなり、普通のパンの話に変わってしまったが、普段は仕事しながら食べるから。それが現実です。
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