「お別れホスピタル(NHKドラマ)」(2024.2.26)

文字数 548文字

 最近見たドラマの中では、最も考えさせられる内容だった。

 感動だとか、奇跡だとか、は皆無で、ありのままに生き死にを描いている。本人や家族の苦しみも包み隠さず。もちろん、脚色している部分もあるけれど、見た人は「必ず訪れる死」について考えるに違いない。身近な家族の死なのかもしれないし、自身の死かもしれないが、誰にでも「必ず訪れる死」をどのように迎えるのか。ドラマの「おはなし」ではないのだ。ホスピタルと言っても、決して安心して死ねるなんていうことはなくて、みんな「怖い」と思いながら、死んでいく。もちろん、少しでも和らぐように鎮痛剤や精神面での医療体制によるケアは最善を尽くされているが、それでも「怖い」に違いない。

 岸井ゆきのが看護士辺見歩の心の揺れを見事に演じており、切なくなる。そして、応援もしたくなるし、感謝したくもなる。松山ケンイチ、内田慈、小野花梨もそれぞれに問題を抱えた役柄を丁寧に演じている。古田新太、木村祐一、きたろう、丘みつ子、根岸季衣、木野花、樫山文枝などの患者、泉ピン子、高橋惠子などの患者家族にも心打たれる。「きれいごと」ではない本音が垣間見える。

 ドラマを通じて「必ず訪れる死」を考えさせられるという点で、ドラマを見て良かったと思っている。心から「今を生きよう」と思う。
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