きしめん好き(2022.8.10)

文字数 372文字

 なんだろうな、時々平たい麺が食べたくなる。
 閉店間際のスーパーでは、麺類にも半額シールが貼ってあるのだが、きしめんは売れ残りが多い。普通のうどんが売切れなので、仕方なくきしめんに手を伸ばす客が多いようだ。僕のようにきしめん目当てで「きしめんが半額でラッキー」なんて思わない人々が、仕方なく買い物かごに放り込む。きしめんは文句も言わず、買われていく。実に健気だ。
 上に乗るのは、天かすとわかめ。間違っても、海老の天ぷらやかき揚げは選ばない。例え半額シールが貼ってあっても、ぐっと我慢する。主役はきしめんだから。
 啜るのが下手な僕は、きしめんだと余計に汁が飛び散る。食べるなら家でと決めている。小さい頃、平たい面をしていた僕はきしめんと呼ばれていた。大人になった今は面長だ。平たい麺に懐かしさと申し訳なさを感じるから、食べたくなるのかもしれない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み